【世界遺産】プレアヴィヒア寺院まで自転車で行った件

※退廃の美、此処にあり

っと〜!チケットブースにて入場料の10$(約1,133円)を支払う。国籍を聞かれたので「日本です」と答えるとチケットの隅に”JPN”と記される。何の為かはよくはわからないが行くとしよう。

ここから先は徒歩での立ち入りはできない。専用のバイクor車で送ってもらう必要がある。勿論、自転車だと通れる。急な坂がたくさんあるよと言われたが、それを体験したくて自転車で来たので問題なし!

すぐのチェックポイントでチケットの確認をされる

さ〜て、ここから上り開始!そこまで急坂じゃないけど??

荷物がないだけでグイグイ上れる。片手でスマホ撮影も楽チンだ〜!

おらよっと♪余裕and余裕♪

ずっとこの調子で上るだけなら楽すぎですわ〜。急坂まだー?

え?

坂道が急に逸れる。不自然に逸れる

きたー!ここから急坂コースですか!

路面にスリットが入ってて漕ぐ気がしない

確かに急だが、大阪と奈良を結ぶ酷道の”暗峠”(くらがりとうげ)よりは現時点でマシ。

!?

前言撤回!なんだこれ…。急斜すぎて時空が歪んで見える。押して進むと気持ちイイ位にアキレス腱がピンと張る。前にひたすら重心をかけて押していく。

その先もずっとこんな感じ。荷物満載だともっと苦労すること大請け合いの急坂である。えっちらおっちら上るしかない

なんとなくあの先が頂上かな?自転車を側道に置いて記念撮影。チケット売り場から約4.5kmで約500m上り、頂上へ辿り着く。

世界遺産周辺だってのにプラスチックのゴミがたくさん散乱。この辺りは力が抜けすぎてるのね

辺りは突然ダート道となり、寺院の入り口まで更に上る。

観光客の車が見えてくると売り子のお姉さん達が一斉に群がる。尚、自転車の私には蝿しか寄ってこない。まあ、確かに何も買う気ないけど。

駐輪場近くのチェックポイントでまたもやチケットの確認。面白いのが携帯の電波がタイの携帯会社”AIS”の3G電波で使えるということ。タイとの国境もすぐそこで(当然越えることはできないのだが)、プレアヴィヒア寺院がどっちの領土となるか、カンボジアとタイとの間で揉めに揉めたという過去がある。エスカレートして死者も出た紛争となっていたことから色々とややこしい。

現在は正式に国際裁判の末、カンボジア領となっている。そんなプレアヴィヒア寺院へいざ!

崩れかけてる建物を支える資材が雰囲気台無しと余計な箇所に目がいってしもうた。

壊されたのか造りかけなのかよくわからない

あえて現代の物や人物が写らないように工夫して撮影。

ナーガ(蛇神)も1000年以上の石像としてそのまんま。ひたすらに胴体が長〜〜〜〜い

エジプトのスフィンクスから伝わったとされるシンハ(獅子)の像である。日本には狛犬がいるよね。実家にはもっとカワイイわんこがいるけんどっ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

支えて寺院を保存したくなる気持ちは痛いほどにわかる。が、しかし画にはならないのである。

お次は山道を進む。ずっとひたすら山頂へ向けて登っていく感じである。

シヴァ神のリンガ(男性器)である。シヴァ神とはヒンドゥー教における3つの神の内の1人であるが、そのシンボルがなんともわかりやすいこの男根である。

しか〜〜〜し!おイタが過ぎちゃうとこんな風に真っ二つ!

と、いうのも(タイの携帯電波が入っているからタイ人の話になるが)、タイでは痴情のもつれで度々このような局部切断事件が起きているのである!切断されても局部が残っていればご立派な整形技術(タイでは性転換手術などが頻繁にある)で修復可能だが、切除した局部を犬やアヒルに食わせたり、生ゴミと一緒に捨てられると取り返しがつかない。タイ人女性怖すぎ…。

ここで局部切断の話から逸れて、カンボジアの大いなる繁栄時代であったクメール王朝の話を簡単に。

まず”神聖な寺院”の意味を持つ”プレアヴィヒア寺院”はクメール帝国の第4代国王ヤショヴァルマン1世が建築を開始。王位継承や争い事があり、スーリヤヴァルマン1世とスーリヤヴァルマン2世が増築を行う。ちなみに名前は似ているが血脈としては繋がっていないとの見方が多い。

カンボジアでは乾期と雨期がハッキリとあり、乾期の間は雨が滅多に降らないためか、このように大きな貯水場らしき場所もある。暑い日は水浴びなどもしてたのだろうか?

そんな貯水場の段差にでも腰掛けて、昨夜の持ち帰りを食す。米パッサパサ!

食べながら地元民らしき人物の行動を観察すると池の水を汲んでいる。飲む気なの?

所々に規則的なのか不規則的なのか似たようなサイズの穴がたくさんある。これは巨岩を運ぶために開けた穴だとされている。ほほう。そう見るとどこを見渡してもこの穴があるから、如何に大事な穴かがわかるな。

だって、こんなに高い所まで人力で持ってくるわけだからね。途方もない人員の数と時間を要したはず。

どんな思いでここの石段も積み上げていったのだろうか?

真正面から撮影してもいいが人が居たので西側から撮影

少し遠目からも撮影

レリーフも1000年以上も昔の物とは思えないほど綺麗な状態である

そのまま裏手側も撮影。綺麗に太陽の光に照らされてる。

こちらも彫刻が立派。それぞれに意味とストーリーがあるのだろう

真ん中に鎮座するのはシヴァ神であろう。朽ちてないのが凄い

さて、まだまだ先へ進める!かなり巨大な寺院である

有機物と無機物との絡み合い。カオスの中にも秩序アリといったところか。剥き出しに根を張る樹木のたくましさよ!

クメール人のこと何も知らないけど今を生きるカンボジア人の祖先と考えたらいいのだろうか。瞳を閉じると、華やかな時代の神聖な寺院が浮かんできたり。

個人的にグッときたプレアヴィヒア寺院のスポット。大木が人間の造った文明を貫き主張している。

辺鄙な場所にあるので観光客も少なめで気持ちの良い散歩ができる

こちらのナーガは顔が無い。風化しているのか、無理矢理破壊されたか…

破壊の情景がひどくなってきた

今尚、発掘作業も進んでる模様

シンハ像と共にパシャり。

横から見ると胴体のカーブや座り方がカンチョーされて仰け反っているように見える。

シンハ「痛ってぇーーーー!!」みたいな。

ちょっとしたダンジョンに迷い込んだ気分

窓の枠も石造りである

このまま鬼ごっこやっても楽しそう

まだ奥へと広がる

ドキドキワクワクしながら進む

崩れた柱(?)と、かろうじて倒立する柱らしきもの

ここにあるレリーフが一番保存状態が良かった。素人目で見ても強烈な何かを感じてしまい立ち止まる

今、私の目で見てきた建造物群はほとんどがスーリヤヴァルマン2世の増築後の物である。彼は内乱続きのクメール帝国を30年ぶりに統一。今でいうタイの一部やベトナムにも国勢を高めて領域を拡大していく。そして、かの有名なアンコール・ワットはこの偉大な王の強権の元、造られたという。

話をレリーフに戻す。どれだけ多くのナーガが刻まれていることか。この蛇神様はとても重要なのだろうな

一部、侵入不可のエリアもあるが、それ以外は自由に行き来可能。

行き止まりも多い

全てが当時のまま。その当時の時代が至高だと信じたクメール人も多く居たのだろう。今となっては観光地と化してしまったが。

そんな中庭の真ん中には大きな瓦礫の山が。

一体、元の姿はどういったものだったのだろうか?

ここが最後のエリアであることから一番重要な建造物であったのは間違いないのだろう

この入り口だけは崩壊が免れている

ヒンドゥー教寺院として建立されたプレアヴィヒア寺院は時の経過と共に仏教寺院へと変化。

側では小坊主がスマホでゲーム。自由だなぁ

さて眺望を見下ろしに行ってみますか

話には聞いていたが本当に猿と遭遇!

まったり〜♪

ワンコも同じエリアにいる

犬猿の仲なのに、猿と仲良くまどろむ事から”平和を象徴”と言うこじ付けの結論。

あの先が眺望ポイントである

おおおおお!

これはこれは、、

天空の城と言う名前に恥じない眺望ではないか!

少し靄がかって見えるが逆に雲の上から眺めているかのよう

お!あれは、、、

あのエリアはチケットを買ったところだ!

いや〜大満足!

ずっと景色見ながらでも良かったが人も増えてきだしたので撤収!

尚、この寺院の周りには住んでる地元民も普通にいる亊に驚く。「俺んち世界遺産っ。」とかギャグみたいな事を普通に言える現実である

それにしてもカンボジアで一番心が洗われた場所であるかもしれない

ここで多くの数えきれない国民が従事したのだろうけど、今はご覧の有様。崩壊しかかっている。全てに言えるが時間の経過には決して逆らえないのだろうな。

実際、この寺院で得た最高のハイライトはプレアヴィヒア寺院から眺めた絶景である。謂わばクメール帝国の歴史よりも何よりも、途方もなく変わらない空の青さであったり、緑の豊かさに心が潤ったのである。

何はともあれ苦労して来た甲斐があったよ。私も早くあのワンコみたいに横になって眠りたいなあ。

ABOUTこの記事をかいた人

人生百年計画を軸に、自分の人生を謳歌すべく奮闘中。自転車はイジるだけではなく、専ら道具として乗り倒す側である。キャンピング・旅行用としての自転車、生活に根ざした自転車が好み。他人とのレースや競うことは好まず、のんびりと漕いで、どっしりとした重量のある自転車が好き。軽量な自転車が持て囃される中、時代の逆をいく考えだが、荷物のある自転車でトレーニングを兼ねて日本も海外も定期的に周りたい。何処を目指しているのかわからないが、凡人故に動き続けていくしかないと思っている。